若手開発担当が大きな衝撃を受けた、Magicの備える優れた生産性
今日、消費者ニーズは短期サイクルで目まぐるしく変化し、多様化・高機能化も進んでいる。こうした市場変化に対応できるよう、メーカーサイドでは、多様な製品を短期間に開発・製造し、すばやく市場投入できる体制を作りあげておく必要がある。もちろん、この一連の流れには、品質向上やコストダウン
という視点も組み込まれていなくてはならない。
カーオーディオやカーナビゲーション、そして自動車用電子機器分野で活発な事業展開を図っていた富士通テンも、時代の要請に応えうる商品開発体制を
確立するための検討を1990年代後半からスタート。 その結果、製品設計部門と製造および関連部門における設計情報や部品情報、進捗情報の共有インフラとし
て、自社開発によるPDMシステムの構築を決定。約10ヶ月の開発期間を経て、独自のPDMシステム「APROS」が完成した。この開発ツールとして選ばれたのが、同社内の製造現場で品質情報システムなどの開発ツールとして採用され、
実績を積み上げていたdbMAGICだった。
APROSの開発は、PDM構築プロジェクト以前からdbMagicでの開発経験がある山口和隆氏を中心に、若手社員(26~29歳)が担当。現在ではPDMチーム内で各グループリーダを務める山坂
新氏、柳田英徳氏、盛山豪氏、中村隆行氏らは、dbMagicの圧倒的な生産性の高さに舌を巻いたという。それまで彼らが経験して
いたCOBOLやFORTRAN、C言語などでの開発とは、まったく次元の異なるスピードで開発作業は進んでいった。
「打ち合わせをしたと思ったら、あっという間にカタチになっていく。そのスピード感にはカルチャーショックを受けました。」と山坂氏は当時を振り返る。
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| 山坂 新氏 |
柳田 英徳氏 |
Magicは考えるための道具であり、コミュニケーションを促す道具でもある
「一般に開発ツールは、開発作業を効率化する道具だといわれます。しかし、非常に生産性の高いMagicを、それだけに使うのはもったいない。
短時間で開発できると言う事は、要件整理、設計という前段階をじっくり検証し、ユーザーとのギャップを埋める努力が可能です。また、しくじったら
納得がいくまで作り直すことだってできます。その結果、高い生産性の最終メリットとは、たっぷり経験を積んだ良いSEを短期育成できることです。
つまり、Magicは”考えるため、創造するため”の道具なのです。」と、山口氏はMagicのメリットを解説する。
実際、APROSの開発では、設計部門や製造部門の担当者と業務フローやシステムのあるべき姿、そしてそこに向かうための課題などを徹底して議論。
打ち合わせの最中に、頭の中ではデータ構造を分析し、必要機能などを大まかに練り上げ、ユーザの即時確認を取って行く。打ち合わせが終わったときには、
頭の中に仕様書ができ上がっているから 即開発作業に入り、数日後には論議を反映したプロトタイプをリリース。担当者に使ってもらいながら機能の追加や
修正を図っていった。「”そろばん”と一緒でね、設計も慣れてくると暗算でできるんですよ。もともとMagicが仕様書ツールみたいなもんだから」と、
社内開発ならではのスピード開発スタイルに山口氏は胸を張る。
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| PDMチームの現場風景 |
ユーザーと直接対話しながら 仕様変更などが頻繁に討議される |
とりあえずでもシステムのカタチができることで、論議はより具体的になり、課題はより明確になる。また、システムを開発する側と利用する側の共通理解も進む。
「Magicは、コミュニケーションを促すための道具ともいえるでしょう。」と山口氏は語った。
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開発本部 技術支援部
PDMチーム
盛山 豪氏 |
開発本部 技術支援部
PDMチーム
中村 隆行氏 |
オフショアでのシステム開発に、Magicのポテンシャルが大きく貢献
こうしたMagicの特徴は、富士通テンが海外展開している現地法人システムにも大きな貢献を果たしている。現在、同社ではフィリピンやタイ、中国、メキシコなどに製造拠点を置いている。1990年代中頃、まずフィリピン工場で、部品手配、在庫管理のシステム化のためにdbMAGICが導入された。そして、現地エンジニアたちの手によって独自の設計や改良が進められ、生産管理から人事や経理、物流、検査などもカバーする基幹システムにまで成長している。
近年、フィリピン工場での成果をほかの海外の製造拠点でも導入しようという動きが生まれてきた。そこで、システムの機能強化や冗長性の確保などが必要になり、山口氏がフィリピンを訪れて指導するという機会が増えてきた。現地のエンジニアと打ち合わせをする上で、Magicの持つコミュニケーション
の道具としてのメリットが遺憾なく発揮される。「もし、C言語で開発していたら、不自由な英語でどれだけ仕様書を書かなければいけなかったか…。
Magicなら、こちらの要求をまとめた要件定義を渡すだけ。あとは彼らが現地で設計し、プロトタイプを開発し、現地工場内ユーザと一緒に検証しつつ作り
込んでいけます。システムのオフショア開発が難しいのは、要件定義と設計までを日本(顧客側)で担当し、プログラミング以降を現地に任せているケース
が多いからです。 日本からはシステムの全体構想や要件定義だけを提供すればいいMagicでは、他の企業ほどオフショア開発の苦労は感じません。」と、山口氏は海外でのオフショア開発にも自信を示す。
フィリピンでの開発成果は確実に上がっており、タイや中国、メキシコなどへの基幹システム展開も 着々と進んでいる。

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| APROSインフラ概要図 |
APROSインフラサーバ詳細 |
PDMの概念を超えたAPROSは、これからも進化を続ける
一方、日本側でも、APROSでの独自開発成功以来、Magicによる開発環境への評価が社内的にも徐々に高まっている。Magicのプログラム容量300MB超の
規模で運用しながら、現在でも週単位で改善や新機能を盛りこんだバージョンアップを続けている。新たなユーザ要求は翌週には実現するペースである。
もちろん、手を加えれば影響を読みきれないことでミスも発生する。しかし、「問題を解決するスピードが極限まで早ければミスは目をつぶる。改善実施を
躊躇する空気や言い訳をする文化のほうがよっぽど怖い」と、山口氏は開発者の背中を押す。「私達は社内開発部隊で、ユーザも顧客であり職場仲間でも
あるんですから、目先のミスなんかより若い技術者の経験づくりや人材育成に投資したいですね」と、自社開発の強みをトコトン活かしている。

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| 開発システムの区分図 |
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| サーバー群 |
また、PDMシステムのカバー領域も、設計変更と連動する品質情報システム、製品原価見積りを行うための原価企画システムといった、部品の海外調達
情報システムなど設計製造の部門の枠を超えて、全社的な連携効果が見込める範囲にまで広がりつつある。すでにPDMシステムという概念を超えてしまって
いるのだ。
「今後やりたいのは、設計のフロントローディングを支援する、つまり商談や受注段階まで遡って商品企画や損益見積ができるシステムです。システムを仕事の生産性向上のための
道具としてだけでなく、環境変化に対する影響を読み取り、本業ビジネスを拡大できる手段へと躍進できたら面白いでしょうね。」と、山口氏の夢は広がる。
富士通テン社内で約900人が日々利用し、海外の製造拠点も含めるとユーザーの数は3000人までにのぼるAPROSは、定期的な更新を毎週行い、現在もさら
なる 進化を続けている。「社内開発はコンペティターのいない独占状態です。それだけに、競合不在の中でふんぞり返ることなく、社内ユーザのニーズを
先回りできる提案力と1を聞けば10がわかる情報収集力を磨き、”君達で良かった”と言われる情報ブレーンであり続けたいと思います。」山口氏率いるPDM
チームの躍進を、Magicは今後も支えていく。 |